カーの作品群の中でも異彩を放つ一冊だが、それにしても良くも悪くもこの単純な筋立て且つ
サラッとした文体で、これだけ充足感(文字通り言葉通り心理的に...)を得られる推理小説
が他にあるだろうか?
決して奇抜な殺人劇が起こる訳でもなく、謎のX氏が跳梁跋扈する訳でもなく、息詰まる心理
戦がある訳でもなく、心ときめかせる名探偵が現れる訳でもなく、衝撃のどんでん返しがある
訳でもなく(これは人によるだろうけど...)、一体全体冴えないのに、作中の被害者がそう
であったように、亦犯人自身がそうであるように読者もカーの〈暗示〉の罠にまんまと嵌まる
不思議さ。。
あくまでも《不可能犯罪》とゆう演出にこだわって、先頭に立って旗を振り続けたが故に辿り
ついた本作は、体現の仕方こそ違うものの紛れもなく王者カーの魅力がつまった傑作だ。
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皇帝のかぎ煙草入れ (創元推理文庫 118-11) ペーパーバック – 1981/1/1
向かいの家で、婚約者の父親が殺されるのを寝室の窓から目撃した女性。だが、彼女の部屋には前夫が忍びこんでいたので、容疑者にされた彼女は身の証を立てることができなかった。物理的には完全な状況証拠がそろってしまっているのだ。「このトリックには、さすがのわたしも脱帽する」とアガサ・クリスティを驚嘆せしめた不朽の本格編。
- 本の長さ294ページ
- 言語日本語
- 出版社東京創元社
- 発売日1981/1/1
- ISBN-104488118119
- ISBN-13978-4488118112
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登録情報
- 出版社 : 東京創元社 (1981/1/1)
- 発売日 : 1981/1/1
- 言語 : 日本語
- ペーパーバック : 294ページ
- ISBN-10 : 4488118119
- ISBN-13 : 978-4488118112
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,133,341位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2009年4月16日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2010年3月16日に日本でレビュー済み
「だまされたと思って騙されてください」という帯にのせられて買ったディクソン・カーの代表作。読み終わって強い不満が残った。
殺人現場の目撃証言も不確かで怪しいものを前提に最後まで話がすすんでいく。
書かれた当時としては、新鮮な心理トリックだったのかもしれないが、日頃日本作家の本格探偵小説を読み慣れている人間が温故知新の目的で読むとしたらがっかり。有栖川有栖、二階堂黎人、綾辻行人(初期の)等々、カーなど英国物本格推理の影響を受けているはずの日本人作家達のほうがよほどトリックとしても面白いものを量産している。
愚痴ばかりになってしまって悲しいが、翻訳も「目玉焼き(Fried egg)」を朝食用に卵を揚げるだとか、犬の種類のキング・チャールズ・スパニエルをスパニエル犬の”チャールズ王”とか、犯人でもない人物の証言を「本人の自供によれば」など、55版も重ねているのだから、何とかしてほしい。
殺人現場の目撃証言も不確かで怪しいものを前提に最後まで話がすすんでいく。
書かれた当時としては、新鮮な心理トリックだったのかもしれないが、日頃日本作家の本格探偵小説を読み慣れている人間が温故知新の目的で読むとしたらがっかり。有栖川有栖、二階堂黎人、綾辻行人(初期の)等々、カーなど英国物本格推理の影響を受けているはずの日本人作家達のほうがよほどトリックとしても面白いものを量産している。
愚痴ばかりになってしまって悲しいが、翻訳も「目玉焼き(Fried egg)」を朝食用に卵を揚げるだとか、犬の種類のキング・チャールズ・スパニエルをスパニエル犬の”チャールズ王”とか、犯人でもない人物の証言を「本人の自供によれば」など、55版も重ねているのだから、何とかしてほしい。
2007年8月20日に日本でレビュー済み
クリスティつながりで初めてカーの作品を手に取りました。玄人好みの作家が大衆向けの作品を著した、という部分がファンからことに評価されているようですね。いつまでたってもミステリー入門書あたりをウロウロしている身としては、皆さんの濃いレビューにちょっと圧倒されました。
自分勝手な人がたくさん登場して、物語をかき回します。トラブルを生み出すその自分勝手な部分が、人間くさく、作品を魅力的なものにしています。でも肝心の主人公だけは、男性のファンタジーが生み出したような無味無臭の人物。そのためか、トリックや構成はわくわくするものの、主人公にひきずられ、無味無臭なぼんやりした読後感ばかりが残りました。時代、なのでしょうか。
自分勝手な人がたくさん登場して、物語をかき回します。トラブルを生み出すその自分勝手な部分が、人間くさく、作品を魅力的なものにしています。でも肝心の主人公だけは、男性のファンタジーが生み出したような無味無臭の人物。そのためか、トリックや構成はわくわくするものの、主人公にひきずられ、無味無臭なぼんやりした読後感ばかりが残りました。時代、なのでしょうか。
2009年6月21日に日本でレビュー済み
本書作品紹介によれば、
アガサ・クリスティに
「このトリックには、さすがのわたしも脱帽する」
と言わしめた作品。
ネッド・アトウッドとの離婚が成立したイヴ・ニールは、
真向かいの家に住む、トビイ・ロウズと婚約しました。
そんな彼女の家に、深夜、ネッドが訪ねてきます。
トビイとの婚約破棄を迫るネッドと
話し合いを続ける彼女ですが、
彼女の寝室からは、
婚約者トビイの父親モーリス・ロウズ卿の書斎が見え、
やがて彼女は、ロウズ卿が殺されているのを
発見してしまいます。
事件発覚後、彼女は、状況証拠から、
容疑者にされてしまいますが、
前夫が家を訪れていたことから、
事実を話すこともできず、
窮地に追いつめられてしまい・・・。
全体的にプロットは簡単で
わかりやすい作品に仕上がっています。
この作品で起きる殺人は、上記の1件のみ。
トリックもその殺人に関するものなのですが、
これが、クリスティを脱帽させたという
エピソード付きのもの。
ただ、残念なことに、
どんな種類のトリックなのかを説明すると、
ネタバレになってしまう恐れがあるため、
これ以上、触れることはできませんが。
ひとつだけ注釈を。
題名の「皇帝のかぎ煙草入れ」という単語には、
事件解決の重要な鍵が隠されています。
ただ、これもまた、これ以上説明すると、
ネタバレになってしまうので、
ここまでしか、お話できないのですが・・・。
アガサ・クリスティに
「このトリックには、さすがのわたしも脱帽する」
と言わしめた作品。
ネッド・アトウッドとの離婚が成立したイヴ・ニールは、
真向かいの家に住む、トビイ・ロウズと婚約しました。
そんな彼女の家に、深夜、ネッドが訪ねてきます。
トビイとの婚約破棄を迫るネッドと
話し合いを続ける彼女ですが、
彼女の寝室からは、
婚約者トビイの父親モーリス・ロウズ卿の書斎が見え、
やがて彼女は、ロウズ卿が殺されているのを
発見してしまいます。
事件発覚後、彼女は、状況証拠から、
容疑者にされてしまいますが、
前夫が家を訪れていたことから、
事実を話すこともできず、
窮地に追いつめられてしまい・・・。
全体的にプロットは簡単で
わかりやすい作品に仕上がっています。
この作品で起きる殺人は、上記の1件のみ。
トリックもその殺人に関するものなのですが、
これが、クリスティを脱帽させたという
エピソード付きのもの。
ただ、残念なことに、
どんな種類のトリックなのかを説明すると、
ネタバレになってしまう恐れがあるため、
これ以上、触れることはできませんが。
ひとつだけ注釈を。
題名の「皇帝のかぎ煙草入れ」という単語には、
事件解決の重要な鍵が隠されています。
ただ、これもまた、これ以上説明すると、
ネタバレになってしまうので、
ここまでしか、お話できないのですが・・・。
2006年11月2日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
作者がわからないまま本書を読んだら間違いなく「ああ、これはクリスティの作品だな。さすがだな〜」と思ったことでしょう(笑)
カーの作品は一部の傑作を除いて、トリックもストーリーも大味なものが多いんです(良くも悪くも)その点、本作は心理描写の細やかさといい、微妙な盲点をついた心理トリックといい、とても「カーらしくない」作品だと思います。ミステリ的な部分から離れても、不遇な女性主人公と取り巻きの男たち、そして物語の幕の引き方もカーらしくなく、クリスティの初期作に類似している感があります。「クリスティが絶賛した」というのも頷けますね。
メイントリックはとても素晴らしい。ミステリやTVドラマ等で類似のトリックが幾度も使われているのがその証明と言えるでしょう。プロットはそれほど複雑では無いので気軽に読めますし、ミステリファンなら必読の一冊です。
カーの作品は一部の傑作を除いて、トリックもストーリーも大味なものが多いんです(良くも悪くも)その点、本作は心理描写の細やかさといい、微妙な盲点をついた心理トリックといい、とても「カーらしくない」作品だと思います。ミステリ的な部分から離れても、不遇な女性主人公と取り巻きの男たち、そして物語の幕の引き方もカーらしくなく、クリスティの初期作に類似している感があります。「クリスティが絶賛した」というのも頷けますね。
メイントリックはとても素晴らしい。ミステリやTVドラマ等で類似のトリックが幾度も使われているのがその証明と言えるでしょう。プロットはそれほど複雑では無いので気軽に読めますし、ミステリファンなら必読の一冊です。
2009年3月31日に日本でレビュー済み
ディクスン・カーの最高傑作といえば、本書か「火刑法廷」かを選ぶ人が多いと思うが、本書は紛れもなくカーの最高傑作と言えよう。
カーにしてはシンプルで読みやすく、ページ数も読み通すのに丁度いいぐらいで、それでいて驚愕度はNo.1ときている。
私はクリスティーの「アクロイド殺し」のレビューで、「アクロイド」とクイーンの「Yの悲劇」、「レーン最後の事件」、それとルブランの「813」を、驚愕のラストを迎える作品として挙げたが、本書はこれら驚愕のラストを迎える作品群に匹敵する大傑作だ。
惜しむらくは密室殺人でもオカルティズムに満ちた作品でもなく、カーの味わいがまったく感じられないことだが、だからこそ誰にでも受入れられる作品とも言える。
絶対に読んで損のない一冊。
カーにしてはシンプルで読みやすく、ページ数も読み通すのに丁度いいぐらいで、それでいて驚愕度はNo.1ときている。
私はクリスティーの「アクロイド殺し」のレビューで、「アクロイド」とクイーンの「Yの悲劇」、「レーン最後の事件」、それとルブランの「813」を、驚愕のラストを迎える作品として挙げたが、本書はこれら驚愕のラストを迎える作品群に匹敵する大傑作だ。
惜しむらくは密室殺人でもオカルティズムに満ちた作品でもなく、カーの味わいがまったく感じられないことだが、だからこそ誰にでも受入れられる作品とも言える。
絶対に読んで損のない一冊。
2005年1月6日に日本でレビュー済み
Carroll & Graf Publishers; 2nd edition。カーの他の作品は読んだことが無いがこれは分かりやすい文章で適当に面白い小説だと思う。ただ、純粋に探偵(推理)小説の醍醐味を味わいたい読者にとっては肩透かしを食わされる出来事があって興味半減し、またミステリーを楽しみたい読者にとってはお粗末な謎と構成でかなり拍子抜けすることだろう。登場人物と状況証拠が限られているので殺人犯を当てるのは至極簡単、そこでその仕掛けを推理する事に関心が向けられるわけだが巧妙な策略がある反面何とも不当な要素もあり、その上伏線の張り方も上手いとは言えない。もしこの作品が短編で例のかぎ煙草入れに関する仕掛けに磨きがかかっていたら更に面白く随分印象深いものになっていたかもしれない。最後の数ページは話がしつこくて私は無くても構わないと思った。
2011年1月13日に日本でレビュー済み
言うなれば香水の壜の事です。(フラコン・ド・セルですね)
この説明があれば、場面ももう少しイメージし易かったでしょうね。
この和訳だけが残念です。
この「皇帝のかぎ煙草入れ」はアガサ・クリスティがトリックの構想にド肝を抜かれた!という作品です。
ですが冷静に状況を分析して考えれば、或いはトリック・犯人とも見破れるかも知れません。
その意味では、フェアだし推理小説読み始めの人にこそオススメしたい作品です。
是非、犯人(作者)と対決してみて下さい。
単に小説としてもなかなか面白いと思います。ネタバレしない内に読まれる事をオススメします。
この説明があれば、場面ももう少しイメージし易かったでしょうね。
この和訳だけが残念です。
この「皇帝のかぎ煙草入れ」はアガサ・クリスティがトリックの構想にド肝を抜かれた!という作品です。
ですが冷静に状況を分析して考えれば、或いはトリック・犯人とも見破れるかも知れません。
その意味では、フェアだし推理小説読み始めの人にこそオススメしたい作品です。
是非、犯人(作者)と対決してみて下さい。
単に小説としてもなかなか面白いと思います。ネタバレしない内に読まれる事をオススメします。